2.クローン病の治療

監修:東京医科歯科大学 消化器内科 准教授 長堀正和 先生

クローン病は原因が不明であるため、腸管の炎症を抑えて症状を鎮め寛解に導くこと、そして炎症のない状態を維持することが治療の主な目標になります。
内科的治療(薬物療法と栄養療法)が主体となりますが、内科的治療が有効でない場合や腸閉塞、穿孔などの合併症では外科治療が行われることもあります。

クローン病の重症度と治療法

クローン病の重症度と治療法

日本消化器病学会:患者さんと家族のためのクローン病診療ガイドブック(日本消化器病学会)
(https://www.jsge.or.jp/theme/jsge2015/files/citizens/guidebook/03_cloning.pdf)(2017年3月6日アクセス)より引用改変

①薬物療法

薬物療法としては、主に軽症の場合はブデソニドや5-ASA製剤が用いられ、炎症が強い場合には、プレドニゾロンが用いられます。免疫調節薬(免疫を抑制するアザチオプリンなど)、生物学的製剤である抗TNF-α抗体(インフリキシマブ、アダリムマブ)や抗IL-12/23抗体(ウステキヌマブ)、抗菌薬などが用いられることもあります。

  • ●5-ASA製剤(メサラジン、サラゾスルファピリジン)
    腸の炎症を抑える働きがあります。サラゾスルファピリジンは主に大腸の炎症を抑える場合に用いられ、メサラジンは小腸、大腸いずれの炎症にも効果を示します。
  • ●副腎皮質ホルモン(ブレドニゾロン、ブデソニド)
    ブレドニゾロンは強力な炎症抑制作用を示す薬剤で、活動期に炎症を落ち着かせて寛解を導入する効果に優れています。ブデソニドは全身性の副作用が軽減され、軽症~中等症の場合に用いられます。
  • ●免疫調整薬(アザチオプリン、6-メルカプトプリン)
    クローン病には過剰な免疫反応が関係していると考えられています。この薬は免疫反応を抑制するものです。薬剤の濃度が安定するまで数ヵ月かかる場合がありますが、活動期の症状を寛解に導く効果と寛解を維持する効果、ステロイドの使用量を減らす効果があります。
  • ●抗TNF-α抗体製剤(インフリキシマブ、アダリムマブ)
    クローン病ではTNF-αという体内物質が過剰に作り出され、これが炎症を引き起こしていることがわかっています。このTNF-αの働きを抑える薬です。
  • ●抗IL-12/23抗体製剤(ウステキヌマブ)
    IL-12やIL-23という体内物質は、腸の炎症を引き起こす原因の1つと考えられています。これらの働きを抑え、炎症を軽減させる薬です。

②栄養療法

食事からの刺激を減らして腸の炎症を鎮めつつ、栄養状態を改善していくために、栄養剤を投与する治療方法です。経腸栄養療法と完全静脈栄養療法があります。

  • ●経腸栄養療法
    液体の栄養剤を口から服用するか、鼻からチューブを入れて投与します。消化の過程を必要としない消化態栄養剤・成分栄養剤と、消化の過程を必要とする半消化態栄養剤があります。
  • ●完全静脈栄養療法
    重度の狭窄がある場合、広範囲な小腸病変が存在する場合、経腸栄養療法を行えない場合などに用いられます。太い静脈にカテーテルを留置して高濃度の栄養輸液を投与します。

③その他の治療

外科的治療

内科的治療では十分な効果が得られず、社会生活が困難なときには手術が必要となります。日本では、発症後5年で約30%、10年で約70%の患者さんが何らかの手術を受けています。クローン病は病変部を取り除いても再発しやすいため、できるだけ腸を残すような術式がとられます。

血球成分吸着除去療法

血液を腕の静脈から体外に取り出し、特殊な筒(カラム)に血液を通過させることにより炎症を起こしている血液成分(主に血球成分)を吸着させて取り除き、また血液を戻す治療法が行われることもあります。

血球成分吸着除去療法

血球成分吸着除去療法

難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班(鈴木斑):クローン病の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識
(http://www.ibdjapan.org/patient/pdf/02.pdf)(2017年3月6日アクセス)より引用改変

内視鏡的バルーン拡張術

狭窄を起こした腸管まで内視鏡が到達する場合には、内視鏡を用いてバルーン(風船)で狭窄を広げることもあります。

内視鏡的バルーン拡張術

内視鏡的バルーン拡張術

難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班(鈴木斑):クローン病の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識
(http://www.ibdjapan.org/patient/pdf/02.pdf)(2017年3月6日アクセス)

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