2.潰瘍性大腸炎の治療

監修:東京医科歯科大学 消化器内科 准教授 長堀正和 先生

①薬物療法

潰瘍性大腸炎は原因が不明であるため、大腸の炎症を抑えて症状を鎮め寛解に導くこと、そして炎症のない状態を維持することが治療の主な目標になります。腸の炎症を抑える有効な薬物療法があります。

薬物療法としては、5-ASA製剤が基本薬となり、炎症が強い場合には、ステロイドが用いられます。免疫調節薬(免疫を抑制するアザチオプリン、タクロリムスなど)、生物学的製剤である抗TNF-α抗体(インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ)、抗菌薬などが用いられることもあります。

  • ●5-ASA製剤(メサラジン、サラゾスルファピリジン)
    腸の炎症を鎮める働きがあります。サラゾスルファピリジンは主に大腸の炎症を抑える場合に用いられ、メサラジンは小腸、大腸いずれの炎症にも効果を示します。寛解維持のために使用されることもあります。経口薬の他に坐剤や注腸剤もあります。
  • ●副腎皮質ホルモン(ブレドニゾロン)
    強力な炎症抑制作用を示す薬剤で、活動期に炎症を落ち着かせて寛解を導入する効果に優れています。経口薬の他に坐剤や注腸剤もあります。
  • ●免疫調整薬(アザチオプリン、6-メルカプトプリン、シクロスポリン、タクロリムス)
    潰瘍性大腸炎には過剰な免疫反応が関係していると考えられています。この薬は免疫反応を抑制するものです。活動期の症状を寛解に導く効果と、アザチオプリンや6-メルカプトプリンでは寛解を維持する効果、ステロイドの使用量を減らす効果があります。
  • ●抗TNF-α抗体製剤(インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ)
    潰瘍性大腸炎ではTNF-αという体内物質が過剰に作り出され、これが炎症を引き起こしていることがわかっています。このTNF-αの働きを抑える薬です。

②その他の治療

外科的治療

多くの場合は内科的治療で症状が改善しますが、内科的治療では十分な効果が得られない重症例や大出血、穿孔、中毒性巨大結腸症、癌化などの重大な合併症には手術が適応になります。
潰瘍性大腸炎は基本的に病変が大腸に限局するので、大腸全摘出が基本となります。現在は自分の肛門で自然に排便することができるよう、肛門を温存する手術方法が主流になっています。

血球成分吸着除去療法

血液を腕の静脈から体外に取り出し、特殊な筒(カラム)に血液を通過させることにより炎症に関わる血液成分を吸着させて取り除き、また血液を戻す治療法です。
顆粒球・単球・リンパ球・血小板を除去する方法と、顆粒球・単球を除去する方法があります。

血球成分吸着除去療法

血球成分吸着除去療法

難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班(鈴木斑):潰瘍性大腸炎の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識
(ibdjapan.org/patient/pdf/01.pdf)(2017年3月6日アクセス)より引用改変

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