第1回オンライントークLIVEイベント


実施日:
2020年8月2日(日)11:00~11:30
MC:
患者さん代表 お侍ちゃん(お笑い芸人)
ゲスト:
佐賀大学医学部内科学講座 消化器内科 教授 江﨑 幹宏 先生
IBD(炎症性腸疾患)の専門医・江﨑先生をゲストに迎え、病気の正しい知識についてご解説いただきながら、IBD患者さんが働き続けるうえで重要なポイントを教えていただきました。
お侍ちゃん:拙者は昨年の1月末に原因不明の腹痛に襲われ、約40日間の入院を経てクローン病の診断を受けました。発症当時は、それまで聞いたこともない病名だったためどんな病気かもわからない状態で、周囲にうまく説明することもできずにいました。最初のころは何ができてできないのか、確認作業をするように体調をみながら少しずつ探り、今ようやくわかってきたところです。
「正しく知ろう」がテーマの第1回では、病気についての知識をみなさんと深めていきたいと思います。
IBDの基礎知識
江﨑先生:IBD(炎症性腸疾患)は、クローン病と潰瘍性大腸炎の2つに大別され、どちらも消化管粘膜の炎症によって腹痛や下痢などが起こる病気です(図1)。症状が落ち着いた状態(寛解)と、悪化している状態(再燃)を繰り返して慢性の経過をたどるため、長く付き合っていかなければならない病気です。そのため、継続的な治療や日常的なケアによって、症状が落ち着いた状態を保つことが大切です。
近年、日本のIBDの患者さんは増え続けており、30〜40代の働き盛り世代の患者さんが多いのが特徴です(図2)。IBD患者さんが病気のない人と同じように働くためには、適切な治療を継続できる環境の整備が大変重要です。
図1:IBDの主な症状


- 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班):潰瘍性大腸炎の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識
- 第4版 http://www.ibdjapan.org/patient/pdf/01.pdf(2020年11月13日閲覧)、
- クローン病の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識 第4版 http://www.ibdjapan.org/patient/pdf/02.pdf(2020年11月13日閲覧)より作成
図2:働き盛りに多いIBD


- 厚生労働省:平成28年度 衛生行政報告例より作図
- https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/36-19.html(2020年11月13日閲覧)
うまく病気と付き合っていくために
江﨑先生:IBD患者さんの約3分の2が病気を抱えながら働いています1)。職場に病気のことを伝えるべきかを悩む方は多いかもしれませんが、医師の立場としては、病気のストレスをひとりで抱え込まずに周囲にきちんと伝え、相談して欲しいと思っています。まずは職場の身近な同僚などに相談をすることから始めて、少しずつ周囲の理解を得られるようにしましょう。
病気をうまくコントロールしていくためには、IBDが慢性の病気であることを理解し、「よくなったから」と自己判断で治療を中断せずに定期的な診療を続けることが大切です。また、どういうときに症状が悪くなるのかをご自身できちんと知っておくことも重要です。よい状態をキープできれば就労でも運動でも、病気のない方と大きく変わらない生活を送ることもできます。病気とうまく向き合いながら前向きに生活を送りましょう。
- 1)独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター:調査研究報告書 No. 126 難病の症状の程度に応じた就労困難性の実態及び就労支援のあり方に関する研究. 2015年4月
https://www.nivr.jeed.or.jp/research/report/houkoku/p8ocur0000000oj5-att/houkoku126.pdf(2020年11月27日閲覧)
ゲスト&MCプロフィール
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佐賀大学医学部内科学講座 消化器内科
教授 江﨑 幹宏 先生
九州大学医学部卒業。日本炎症性腸疾患学会はじめ複数の学会に所属し、IBD診療のエキスパートとして活躍。IBDの専門医として、佐賀大学医学部附属病院にて、日々IBD患者さんに寄り添った治療をおこなっている。
九州大学医学部卒業。日本炎症性腸疾患学会はじめ複数の学会に所属し、IBD診療のエキスパートとして活躍。IBDの専門医として、佐賀大学医学部附属病院にて、日々IBD患者さんに寄り添った治療をおこなっている。
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患者さん代表
お侍ちゃん
(お笑い芸人)1981年生まれ。岩手県出身。上智大学在学中にコンビで芸人活動をスタート。大学卒業後はピン芸人となり、地毛で結ったちょんまげ姿の侍キャラでネタを披露。お笑いライブやテレビ、ラジオなどで活躍中。2019年にクローン病を発病。自身の闘病生活や他のクローン病患者さんとの交流の様子をブログで公開している。
1981年生まれ。岩手県出身。上智大学在学中にコンビで芸人活動をスタート。大学卒業後はピン芸人となり、地毛で結ったちょんまげ姿の侍キャラでネタを披露。お笑いライブやテレビ、ラジオなどで活躍中。2019年にクローン病を発病。自身の闘病生活や他のクローン病患者さんとの交流の様子をブログで公開している。