※IBD(Inflammatory Bowel Disease):炎症性腸疾患。一般に潰瘍性大腸炎とクローン病のこと。

思うように働けないときも、腐らずに自分のペースを見つけた

  • bookmark
  • share

クローン病のセンパイが回答

しんちゃん氏

しんちゃん氏

患者会 「みえIBD」 会長 / 男性 31歳 / クローン病歴14年目

取材日:2019年11月6日

1988年生まれ。17歳で小腸型のクローン病と診断される。31歳の現在までに3度の手術と約40回の入院を経験。専門学校卒業後は一般企業に勤務しながら、患者会「みえIBD」の会長として、SNSなどを通しての情報発信に力を入れている。

専門学校を卒業して22歳で就職したのですが、入社式で倒れてしまって、そのまま4ヵ月間入院しました。本当に心苦しかったですし、「こんな健康状態で、この先働いていけるのか」という不安もありました。でも、4ヵ月後に出社したときに皆さんが温かく迎えてくださったことでホッとしたのを覚えています。

それでも、4ヵ月分の遅れを巻き返すのは大変でした。僕が通った高校も専門学校も男性が多かったのですが、会社は圧倒的に女性が多く、まずはその環境になじむまでに時間がかかりました。また、ひとりだけ遅れて入社していますから、同期との距離感も微妙だったんです。周囲とうまくコミュニケーションがとれず、仕事でもミスばかり。全く使えない状態の僕を辛抱強く育ててくれた会社には、本当に感謝しています。

25歳になってようやく仕事も覚えたころ、初めて大きなプロジェクトに参加することになりました。やっと会社に貢献できる、今まで迷惑をかけた分、絶対にやり遂げよう! そう意気込んでいたのですが、そこでまた体調を崩して長期入院。退院して会社に戻ったときにはもうプロジェクトは終わっていました。このときの無力感や悔しい気持ちは、長く胸に残りました。今振り返っても、この時期は本当にきつかったです。

もっと仕事がしたいと思っていても、体調が悪くて思うように働けない……。そんな自分が情けなくて、会社を辞めようかと考えたこともあります。でもそのたびに、今の会社以上に気持ちよく働ける職場はないと思い直し、自分ができる仕事を見つけて腐らずに頑張ってきました。そんな姿勢を認めてもらえたのか、次第にできる仕事が増え、大きなプロジェクトを任されるようになってきて、今はやりがいを感じながら働いています。

その後も何度か入院しましたが、入院すると体力・筋力が落ちるので、退院後すぐにフルタイムで勤務するのは難しいのが実情です。無理をするとまた体調を崩してしまうため、しばらくは時短勤務をすることになりますが、そうなるとできる仕事は限られ、モチベーションも上がらないなど、仕事のペースを取り戻すのが大変でした。

ただ、女性が多い会社なので産前・産後休業や育児休業を取得する社員もたくさんいます。それも関係しているのかもしれませんが、今の会社では社員の長期休業に備えた環境が整っているので、休みが取りやすく働きやすいですね。これから就職や転職をしようと考えている方は、産休・育休制度が充実しているかどうかやその取得率も会社選びのポイントにされると良いと思います。

IBDとともに歩む

仕事や生活の悩みや疑問、IBD(潰瘍性大腸炎、クローン病)と歩む日々の道しるべとなるよう、さまざまなコンテンツをご紹介しています。