※IBD(Inflammatory Bowel Disease):炎症性腸疾患。一般に潰瘍性大腸炎とクローン病のこと。

診断を受けたばかりの患者さんに伝えたいこと

診断を受けたばかりの
患者さんに伝えたいこと

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専門医が回答

横山薫 先生

横山薫 先生

北里大学医学部 消化器内科学 講師

IBDを発症してさまざまな経験を得てきた患者さんたちが、IBDと診断されたばかりの患者さんに贈るアドバイスをお届けします。

大丈夫だよ、と伝えたい女性30代 クローン病歴2年

IBDは難病と言われるので、不安はあると思うけど、治療や食事などで病気と折り合いをつけていけるので大丈夫だよって。治らない病気ということでプレッシャーがあると思うけど、大丈夫だよと伝えたい。

まずは治療をしっかりと男性40代 潰瘍性大腸炎歴24年

この病気は難病指定されているけど、薬が合えばコントロールすることもできるので、「難病」という言葉に惑わされずに、まずは治療をしっかりとやる。最初は難病と聞いてびっくりするけど、治療薬もしっかり研究されていると聞くので、期待してます。

周りに伝えて、理解してもらおう男性40代 潰瘍性大腸炎歴9年

発症した当時は自分自身もどうなるか分からなくて不安ばかり。でも決して自分一人で悩まないこと。また、病気について、できるだけ周りの人に知ってもらうといい。僕自身もつらい思いを何度も経験したので、「伝えない方がいい」という気持ちを切り替えるまでにずいぶん時間がかかった。気持ちを切り替えるのは難しいとは思うけど、周りに伝えて理解してもらうことが必要だと思う。

前向きな気持ちを持って、
一緒にがんばろう女性30代 潰瘍性大腸炎歴8年

病気を発症したばかりのころはショックだと思うし、落ち込むことのほうが多いかもしれない。けれど、周りに理解してくれる人はいるし、支えてくれる人も必ずいると思うので、前向きな気持ちを持ってがんばってほしい。また、IBDは今は治らないと言われている病気だけど、医療が進歩して将来的には完治する病気だと信じているので、諦めないで一緒にがんばりましょうねと伝えたい。

諦めずに、何でもやってみて男性40代 クローン病歴13年

1人ひとり症状が違うので、みんな一律に「これを言えばいいっていうのはない」と思う。ただ、病気のせいで何かを制限しないで、何でもやったほうがいい。自分も、今になってみれば、もっと恋愛をしておけば良かったかなと思うが、発症当時は先が見えなかったから守りに入ってしまったので仕方がないかな。症状が本当に重いときは、何も考えられない人もいると思うから無理はしなくていいと思う。

やりたいことをやる男性20代 潰瘍性大腸炎歴3年

ストレスをためずに、やりたいことをやる。これが病気自体にいい効果があるかどうかは分からないけど、これからも病気と付き合っていかなければいけないので、やりたいことを我慢しててもつらい期間が長引くだけだと思う。

無理せず、
ストレスになることはやめる女性10代 潰瘍性大腸炎歴4年

無理をしないことが一番。私はストレスをずっと抱えていたけど、それがなくなった途端に症状が良くなったので、ストレスに感じたことはやめてみるというのも1つの方法じゃないかな。例えば、部活動に対しても深く入れ込みすぎるとストレスになることもあるので、無理をしない程度に参加するだけでもいいと思う。

病気によって、
自分に自信がついた男性30代 クローン病歴18年

自分に自信をつけることが大事じゃないかな。僕の場合は、この病気になったことによって、普通の人以上に苦労して必死に生きてきたという自負があるので、正直「負けないぞ!」という気持ちがある。この先、どんなことがあっても自分は乗り越えられるという自信を持つことができた。

いつかトンネルを抜ける日が男性30代 クローン病歴3年

深刻に捉えすぎないこと、かな。病気自体は苦しいことだけど、周りにどれだけ感謝できるか、が心の持ちようとして非常に大きいと思う。IBDを発症したことで、自分がどれだけ多くの人に支えられているかが改めてよく分かった。IBDが発症してすぐの時は本当に不安だと思うけど、悪い状態はずっと続かない。いつかトンネルを抜けるときが来るので、小さな目標や希望を自分で見つけていって乗り越えていくしかない。自分の感性でやればいいし、ダメだったら次に何か方法があると思うので、希望を捨てないで。やりたいことといっても些細なことでもいい。ライブに行きたいとか、本が読みたいとか、若い高校生だったら恋愛したいとか、それだけでも目標になると思う。そのためにはどうすればいいのか考えて、自分で取り組んでいこう。でも無理だけはせずに、自然体でやっていけばいいんじゃないかな。

克服は難しいけど、
共存ならできる女性30代 潰瘍性大腸炎歴16年

完全に病気を克服することは難しいけど、病気と共存することはできると思う。人生の半分近く、この病気と付き合ってきて、無理に病気を治そうと思わずに、自分でストレスをコントロールして病気と共存しようと思えるようになってきた。「どんな人でも、健康上の悩みは大なり小なりある」と考えを切り替えると、気持ちの持ちようが変わるんじゃないかな。この病気になって良かったと思えることもある。それは、他の人よりも健康に気を使うようになったこと。内視鏡検査も毎年やっているし、食生活も自分なりに工夫している。まるっきり健康というわけにはいかないけど、自分の体と向き合えるいい機会になったと思う。

ネガティブ思考を原動力に男性30代 潰瘍性大腸炎歴20年

私は病気になってから本当にネガティブになってしまった。前向きに生きられない、ポジティブに生きられない、何の希望もないと言う人もいると思う。そうであっても、がんばってほしいという気持ちもあって、がんばる原動力として、ネガティブな思考を力に変えていけるのではないかと思っている。一般に「希望」とか「ポジティブな気持ち」がないと病気には勝てないといった風潮があるけど、私のように、ネガティブを原動力にしている場合もあるということを知ってもらいたい。ネガティブ思考だからダメだ、と人生を閉ざしてほしくない。ポジティブに生きなくても、逃げの気持ちでも力になるんだよと伝えたい。

専門医からのアドバイス

横山薫 先生 北里大学医学部 消化器内科学 講師

ご所属名・役職名は2022年7月13日時点のものです。

IBDの経過は百人百様です。発病から治療の過程や経過は実にさまざまで、患者さんそれぞれがさまざまな体験をされています。ですから、他の患者さんの体験がこれからの自分の気持ちの向きように役立つことも少なくないでしょう。また、医師も多くの患者さんの経過を見守ってきています。不明な点や疑問点があれば、遠慮せずに相談してみましょう。

※病歴は症状の認識ではなく、医師の診断を受けてからの年数です。
※掲載しているコメントは個人の意見であり、すべての方に当てはまるわけではありません。

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