第8話 体調がよくなったら、野菜も食べよう

監修コメント

食物繊維について

監修
東京医科歯科大学
医学部附属病院
臨床栄養部 副部長 
斎藤恵子先生

食物繊維は、ビフィズス菌や乳酸菌によって発酵され、短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸など)を生成します。この短鎖脂肪酸が小腸の粘膜表面の微絨毛や大腸粘膜の上皮細胞の栄養源になっており、腸管の病変治癒に役立ちます1)

クローン病患者さんは、症状が悪化した際に静脈栄養法や成分栄養剤による経腸栄養療法を行いますが、こうした低残渣・無残渣食が続くと小腸の微絨毛が萎縮し、腸管粘膜の透過性が進んで炎症が起こりやすくなることが問題となっています2)
腸管の安静を保つ必要がある時は低残渣食が推奨されますが、腸管に狭窄がなく、摂取により症状が悪化しないのであれば、食物繊維を厳しく制限する必要はありません。

食物繊維の摂取について心配される患者さんには、1日の量を150~200g程度に抑え(一般の人の目標摂取量は350g)、皮を除く、小さく切る、やわらかく加熱する、裏ごしをするなど調理方法を工夫して、腸への刺激をさらに減らすよう指導しましょう。

【参考】
1) Chun W, et al. Digestion. 1989; 42: 22-29.
2) Takahashi D, et al. Gastroenterology. 2011; 141: 621-632.

監修
東邦大学医療センター
佐倉病院
消化器内科
教授 松岡克善先生

食物繊維は、有益な腸内細菌を増殖・活性化させる非消化性「プレバイオティクス」に該当します。
動物実験では、水溶性食物繊維のペクチンが腸内細菌叢に影響を及ぼし、短鎖脂肪酸を直接または間接的に増加させ、腸粘膜上皮を修復することが認められ1-2)、また、腸内細菌により産生される酪酸が、免疫反応を抑制する制御性T細胞を大腸で誘導し3)、免疫反応の中心として働くNF-kBの活性化を抑制することで4)、 炎症反応を抑えることが示されています。

潰瘍性大腸炎患者さんにおいても、プレバイオティクスの作用が確認されています5)。軽症~中等症の潰瘍性大腸炎患者さんに、食物繊維とタンパク質を主成分とする「発芽大麦」を1日20~30g、28日間経口投与した結果、臨床症状と内視鏡所見の影響が認められ、糞便中の酪酸濃度の増加がみられました5)。日本では、この発芽大麦が潰瘍性大腸炎患者さんの病者用食品として発売されています。

クローン病患者さんでも水溶性食物繊維に制限はないため、食事療法に上手にとり入れるとよいでしょう。

【参考】
1) Chun W, et al. Digestion. 1989; 42: 22-29.
2) Fukunaga T, et al. Digestion. 2003; 67: 42-49.
3) Furusawa Y, et al. Nature. 2013; 504: 446-450.
4) Kanauchi O, et al. J Gastroenterol Hepatol. 1998; 33: 179-188.
5) Kanauchi O, et al. Curr Pharm Des. 2005; 11: 1047-1053.

腸ご飯生活インデックスに戻る腸ご飯生活インデックスに戻る
相談できた!あの人のストーリー