Q.IBD患者が受けられる支援制度を教えてください

社会支援制度

監修:北里大学医学部 消化器内科学 講師 横山薫 先生

IBD患者さんは青年期に発症することが多いため、就学や就職などのライフステージの変化が大きい時期でもあり、疾患により生活上で困難が生じる場合も少なくありません。より良い生活を送るためにはIBDに関する社会支援制度をよく知り、主体的に活用することが重要です。社会支援制度は地域差があり、時期によって変化することがあります。知識が不明確であったり申請に悩んでいたりするときは、各申請窓口や医療機関のソーシャルワーカーに相談しましょう。

IBD患者を支える主な制度

①医療費負担

医療費負担を軽減する制度としては「特定疾患医療費助成制度」「高額療養費制度」があります。

・特定疾患医療費助成制度

クローン病や潰瘍性大腸炎をはじめとした、厚生労働省の難病対策事業の対象疾患に限り、医療費を助成する制度です。
難病指定医の診断書などの必要書類をそろえ、都道府県の窓口に申請し認定されると、設定された自己負担上限額を超える医療費が公費で助成されます。詳しい申請方法については、医療機関や都道府県の窓口でご確認ください。

医療助成における自己負担上限額(月額・円)

医療助成における自己負担上限額(月額・円)

※「高額かつ長期」とは、月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上ある者(たとえば医療保険の2割負担の場合、 医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回以上)
厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000128881.pdf)(2017年3月6日アクセス)

・高額療養費制度

場合によってはIBDの確定診断がつかず、特定疾患申請ができない時期に高額な医療費が発生することがあるかもしれません。その場合は「高額療養費制度」が利用できます。健康保険加入者であれば誰でも利用できる制度で、1ヵ月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、後で払い戻されます。詳しい申請方法については、治療を行う医療機関でご確認ください。

高額療養費の助成を受けた場合の自己負担額

高額療養費の助成を受けた場合の自己負担額

全国健康保険協会(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030)(2017年3月6日アクセス)

②所得保障

所得を保障するものとしては、「傷病手当金」「障害基礎年金」などがあります。これらの受給要件は個人の状況によって異なりますので、詳しくは各申請窓口にお問い合わせください。

・傷病手当金

健康保険加入者とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。被保険者が病気やケガのために就労が困難になり、事業主から十分な報酬が受けられない場合に、報酬の約2/3の額が最長1年6ヵ月間支給されます。

・障害基礎年金

国民年金に加入している間に病気やケガで、法令により定められた障害等級表(1級・2級)による障害の状態にある間、障害基礎年金が支給されます。クローン病では人工肛門を造設したり腹壁に廔孔が生じた場合などに認定される可能性があります。認定されると、2ヵ月に1回、定期的に障害基礎年金が支給されます。

③就労支援

IBDをはじめとした難病患者さんに対する就労支援制度があります。患者さんの状況に応じたきめ細かな職業相談を実施するとともに、就職活動や職場の定着まで支援しています。詳しくはお近くのハローワーク、難病相談支援センターにご相談ください。

参考:日比紀文監修:チーム医療につなげる! IBD診療ビジュアルテキスト, p.29-33, 羊土社, 2016
NPO法人日本炎症性腸疾患協会(CCFJ)編:クローン病の診療ガイド 第2版, p.112-118, 文光堂, 2016
NPO法人日本炎症性腸疾患協会(CCFJ)編:潰瘍性大腸炎の診療ガイド 第3版, p.90-97, 文光堂, 2016
難病情報センター(http://www.nanbyou.or.jp/)(2017年3月6日アクセス)
厚生労働省:難病患者の就労支援(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06e.html)
(2017年3月6日アクセス)