潰瘍性大腸炎は炎症性腸疾患のひとつで、大腸の粘膜に炎症が起きることによりびらんや潰瘍ができる原因不明の慢性の病気です。主な症状としては、下痢や血便、腹痛、発熱、貧血などがあります。また、さまざまな合併症が発現することがあります。

潰瘍性大腸炎は、厚生労働省から難病に指定されていますが、適切な治療をして症状を抑えることができれば、健康な人とほとんど変わらない日常生活を続けることが可能です。

コラム

難病指定=命に関わる病気!?

難病というと、命に関わる病気、ふつうの社会生活が営めなくなる病気というイメージがありますが、潰瘍性大腸炎は、根治に至る治療のない病気ではあっても、ただちに命に関わる病気ではありません。難病に指定されている理由には、原因が不明であるということのほかに、国が支援して原因や病態を解明し、治療体系を確立しようという狙いがあるからです。

私たちの体には免疫系という防御システムが備わっていて、ウイルスや細菌などの異物の存在を察知すると体内から追い出そうと活動します。このときに腫れや痛み、発熱などの反応が起こります。この反応のことを「炎症」と呼んでいます。

炎症は体にとって不可欠なものですが、過剰に起こると体を傷つけることになります。炎症が大腸に起こる病気を「炎症性腸疾患」といいます。

炎症性腸疾患のうち、細菌や薬剤などはっきりした原因で起こるものを特異的炎症性腸疾患といいます。感染性腸炎、薬剤性腸炎、虚血性腸炎、腸結核などは特異的炎症性腸疾患です。炎症を起こす原因がはっきりしている場合には、原因を取り除く治療を行います。しかし、炎症性腸疾患のなかには、原因がわからない非特異的炎症性腸疾患もあり、潰瘍性大腸炎はそのひとつです。

潰瘍性大腸炎と似た病気で同じく非特異的炎症性腸疾患に属するものに、クローン病があります。潰瘍性大腸炎は炎症の部位が大腸に限局しているのに対して、クローン病は口腔から肛門まで消化管のどの部位にも炎症が起こるのが特徴です。

炎症性腸疾患の分類

炎症性腸疾患の分類

日比紀文ほか編:IBDを日常診療で診る, p24, 羊土社, 2017より作図

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潰瘍性大腸炎は、以前はまれな疾患とされていましたが、年々増加し続け、平成26年度末には日本で約17万人の患者さんが登録されています。患者数が急増した背景には、内視鏡による診断法が向上したことや、この疾患に対する認知度が向上したことも関係していると思われますが、食事を含む生活習慣の西洋化の影響も大きいと考えられています。

潰瘍性大腸炎医療受給者証・登録者証交付件数の推移

潰瘍性大腸炎医療受給者証・登録者証交付件数の推移

厚生労働省:衛生行政報告例の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/36-19a.html)(2017年3月6日アクセス)

発生年齢をみると、男性では20歳~24歳、女性で高くなっていますが、小児や高齢者に発症することもあります。男女比は1:1で差はありません。

潰瘍性大腸炎の推定発症年齢

潰瘍性大腸炎の推定発症年齢

難病情報センター:潰瘍性大腸炎
(http://www.nanbyou.or.jp/entry/62)(2017年3月6日アクセス)