※IBD(Inflammatory Bowel Disease):炎症性腸疾患。一般に潰瘍性大腸炎とクローン病のこと。

管理栄養士さんと学校の先生の尽力で、スキー合宿に参加

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クローン病のセンパイが回答

しんちゃん氏

しんちゃん氏

患者会 「みえIBD」 会長 / 男性 31歳 / クローン病歴14年目

取材日:2019年11月6日

1988年生まれ。17歳で小腸型のクローン病と診断される。31歳の現在までに3度の手術と約40回の入院を経験。専門学校卒業後は一般企業に勤務しながら、患者会「みえIBD」の会長として、SNSなどを通しての情報発信に力を入れている。

17歳でクローン病と診断されたときは、「もうどうにでもなれ」と投げやりな気持ちでいっぱいでした。そんな僕が腐ることなく高校生活を送ることができたのは、学校の先生方と親友のサポートがあったからです。当時の僕はおとなしくて、目立たない存在だったのですが、親友は成績優秀で人気者。そんな親友がいつも僕を気にかけてくれていたから、自然と僕の周りにも人が集まってきて、クラスの中で孤立することもありませんでした。

先生方からも「大変だと思うけど頑張れよ」と声をかけていただいたり、学校で成分栄養剤を飲めるようにと職員室の冷蔵庫に置かせてもらえたり、いろいろと配慮していただきました。3泊4日のスキー合宿のときは、病院の管理栄養士さんにも協力してもらって、特別メニューを用意してもらえるよう旅館に掛け合ってくださったんです。あれは本当にうれしかったですね。合宿前は「行きたいけれど、迷惑かけたくないから行くのはやめようか……」とひとりでウジウジ悩んでいたのですが、先生方が環境を整えてくださったおかげで参加することができ、高校生活の良い思い出になりました。

高校卒業後に進学した専門学校でも、担任をはじめ多くの先生方に助けていただきました。1年生のときは入院ばかりであまり登校できなかったのですが、留年しないようにレポートなどで対応してもらいました。2年生のときの担任の先生は悩みの相談に乗ってくれましたし、3年生のときには就職活動のための自己分析や志望動機、自己PRの作成を先生に手伝ってもらいました。授業でお忙しい中、たくさんの先生方が時間を割いてサポートしてくださったことは、本当に感謝しています。

僕が診断されたころはまだ治療法が限られていて、学生時代には何度も何度も入院しました。体力的にしんどかったですし、ネガティブな情報を目にしてふさぎ込むこともありましたが、周囲の方の理解と支えがあったから、心が折れることもなく乗り切ることができました。そういう意味では、僕は本当にラッキーだったと思っています。

今、僕は患者会の会長として、患者同士で情報交換ができる場所づくりや、医療講演会の開催などの情報発信といった活動に取り組んでいます。これまで僕が多くの人に支えてもらったように、今度は僕が誰かを支えることができればうれしいですね。

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