※IBD(Inflammatory Bowel Disease):炎症性腸疾患。一般に潰瘍性大腸炎とクローン病のこと。

IBDだからって、親になることをあきらめたくない!

IBDだからって、親になる
ことをあきらめたくない!

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専門医が回答

横山薫 先生

横山薫 先生

北里大学医学部 消化器内科学 講師

医師に相談しながら、妊娠・出産を経験される先輩患者さんが増えています。笑顔あふれる先輩患者さんのリアルストーリーをのぞいてみませんか。

タイミングを医師と相談女性30代 潰瘍性大腸炎歴8年

主治医から「妊娠は計画的に」と言われていたので、念入りに準備しました。まずは身体のコンディションを整えて、大腸検査をするなど順序を踏んだうえで授かりました。妊娠中は不安でいっぱいだったけど、健康で元気な子を産めました。いろんな心配もしたけど、病気を持っていてもちゃんと出産できて、本当にほっとしました。

米国で出産女性30代 潰瘍性大腸炎歴16年

妊娠・出産に関しては、主治医から計画的にしたほうがよいとのアドバイスをもらっていましたが、夫のアメリカ赴任中に妊娠が判明しました。薬については心配だったので、一時中断しました。妊娠後、ホルモンのバランスが崩れたため、一時は症状が悪化しましたが、その後は順調で比較的安産で出産しました。

服薬しながら妊娠・出産女性30代 潰瘍性大腸炎歴8年

妊娠中に薬を飲み続けるかどうか悩みました。主治医は、私の意見を聞いてくれたうえで「薬を減らすと体調を崩す可能性もある。母子ともに健康に出産するのがベストだからお薬を飲みなさい」と。私もそのアドバイスを受け入れて、無事出産しました。主治医が、私の不安を払拭しようと、過去のデータをたくさん調べてくれたのもありがたかったです。

周囲の助言で不安を解消男性30代 クローン病歴6年

僕の飲んでいる薬が、子どもに影響しないか心配でした。でも、自分で本を読んだり、主治医の話を聞いたりしているうちに大丈夫かなと感じるようになり、最終的に不安はなかったですね。

クローン病でも諦めない男性30代 クローン病歴6年

発症後に、2人目の子どもに恵まれました。妻との間では「クローン病だから、子どもは諦めよう」という気持ちは一切ありませんでした。もちろん、原因不明なので、「遺伝したらどうしよう」という不安はありましたが、もし子どもがなったとしても、「一緒に闘っていこう」「子どもの面倒はオレが絶対にみる」と妻に話しました。

父親としてがんばる男性40代 潰瘍性大腸炎歴24年

父親になったときは、今まで以上にがんばっていこうという気持ちがわいてきました。とにかく仕事をしっかりとやっていく。そして、子どもに将来心配をかけないようなレベルまでがんばろうと思いました。

子どもの理解がうれしい女性30代 潰瘍性大腸炎歴16年

3歳と2歳の子どもたちは「ママは薬を飲むものだ」と認識しています。薬の準備をしてくれたり、「僕も薬を飲みたい」と言ってくれたりします。全部を理解しているわけではないでしょうが、子どもなりに理解してくれているんだと思ったらうれしいですね。

泥遊びやかけっこ男性30代 クローン病歴6年

子どもとは一緒になって遊んでいます。泥遊びや滑り台、かけっこしたり、何かに登ったり。公園や子どもの遊び場には、たいてい近くにトイレがあるので、その点も問題なし。本当に体調が悪い時は、もちろん無理はしません。

母乳育児は断念……女性30代 潰瘍性大腸炎歴16年

長男は母乳ではなく、ミルクで育てました。母乳育児を望んだのですが、私が当時使っていた薬とのかねあいで主治医からのアドバイスにより断念しました。

ママ友に伝えるべき?女性30代 クローン病歴2年

子どもの学校のPTA活動には、積極的に参加できません。行くとしっかりやろうと無理をしてしまうし、具合が悪いときは周りとコミュニケーションを取るのもつらいので。ママ友に病気のことを伝えて理解してもらったほうがいいのか、悩んでいるところです。

専門医からのアドバイス

横山薫 先生 北里大学医学部 消化器内科学 講師

ご所属名・役職名は2022年7月13日時点のものです。

一般的には、体調が落ち着いている寛解期に妊娠するのが望ましいとされていますが、妊娠を希望される場合は、まず主治医に相談してください。また妊娠が分かると、胎児への副作用を心配して薬の内服を中止してしまう方がいらっしゃいますが、自己判断による薬物療法の中止により再燃して、お母さんの体調が悪くなるほうが、胎児に悪い影響を及ぼします。自分だけで判断せず、必ず主治医に確認しましょう。

※病歴は症状の認識ではなく、医師の診断を受けてからの年数です。
※掲載しているコメントは個人の意見であり、すべての方に当てはまるわけではありません。

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